ある創業者が「設立以来20年以上、予算なしでやってきました」と言うのを聞いて驚いたことがある。この場合、予算とは売上と利益の見込み計画のこと。予算が存在しない会社というのは中小企業では珍しくない。
予算は目標と予測を兼ねているという点で、車でいえばカーナビのようなものと言えるだろう。今後の展開を概ね見通せるが、なくてもドライブは楽しめる。
そういう会社が1〜3年程度の損益計画を練る必要に迫られることがある。目的は設備投資、会社売却などさまざまだ。
アプローチとしては会社のビジネスモデルを経営幹部にヒアリングし、計画策定に必要な数字を集めて財務モデルを組み上げていくのが一般的だろう。
私の場合、それに加えて可能な限り資金繰り担当者に話を聞くようにしている。現場感覚のようなものを補うためだ。
予算がない会社でも勘だけに頼って経営しているわけではない。向こう2〜3か月の現預金残高の見込み数値は例外なく存在する。カーナビはなくても燃料メーターの減り方はしっかり見ているといった感じだ。
資金繰り担当者は
「今月は支出から入金までが長い」
「この時期は毎年キャッシュが苦しくなる」
といったことを経験として身体で覚えている。
この実務で培われた感覚が、外部から入る財務のプロが作りがちな理屈先行の予算への良い歯止めになるような気がしている。
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2026年2月20日